〜お悩みが緩和されていく。そんな本を処方します〜
『天国映画館』清水晴木さん -Amazon-
お悩み
- 苦悩を抱え生きている
- 他人と比較してしまう
- 先が見えない
- 死後について不安がある
- 後悔している事がある
待合室
「死後の世界はどうなっているのだろう?」
思春期の頃、自分が現世からいなくなったことを考えるのが癖になっていて、
不安と恐怖が襲い、眠れない夜を何度も経験しました。
そんな不安から逃れるためには、「今が充実しているから、死ぬという事がとても怖いのだ」
と言い聞かせることしかできませんでした。
大人になった今も、わかるはずなどありません。
今生きている人達には到底わかるはずのない先のことだからです。
生まれた時から、苦しみが大きい人。理想とする人生を歩んでいる人。
この世界で広く知られている有名な人。
歳をとるごとに、比例して不安が大きくなっている人。
何事もうまく行っている様な気がする人。
自由な人。そうでない人。
作られた映画の様にはいかない人生ですが、様々な人生で描かれるフィルムのなかで
きっと、忘れたくない名シーンがあると、私は願っています。
処方本
『天国映画館』清水晴木 さん
今回ご紹介する処方本は、清水晴木 さんの『天国映画館』という小説です。
この本は、辛い日々を送る方を救う1冊になると思います。
なぜ私はこんなにも不幸なのだろう、うまくいかないのだろうと。
その程度は違えど、皆種類は同じ痛みです。
異なる境遇や過去を持つ登場人物たちが、
自分の人生に最終的には向き合える物語となっています。
処方のタイミング
【一日一読】
登場人物で章が分かれているので、1章ずつ読むことを推奨します。
つい、物事を悲観的に捉えてしまう方は夜や寝る前の処方は避ける様にしましょう。
『天国映画館』あらすじ
「あなたの人生の名シーンは、いつですか?」。記憶を失って天国を訪れた小野田。自分は死んだのだと悟った彼は、天国映画館の支配人・秋山に誘われ、一緒に働くことになる。天国から新たな世界へ旅立つ人の人生を上映するこの映画館で、様々な人生を観るうちに、小野田の記憶と心に変化が訪れてゆく。そして、自分の人生の映画フィルムが、ついに届いた。その映画は、彼自身はもちろん、観客たち誰もが思いもよらぬ人生で―。 引用元:Amazon
処方本 レビュー
1 『最後まで』何が起きるかわからない
私達の『最後』ってどこなのでしょうか?
心や頭が停止したら、 本当にそこが終着点なのでしょうか?
この本を読んでいると、果たして人生の最後とはどこなのか分からなくなってしまいました。
仮に、自分の人生に「辛い日々」と名前をつけたとして、
その辛い日々が報われる先があるかもしれないと思ったのです。
その理由として、映画館で映画を見ている時、
私はエンドロールが終わるまで、 席でじっとスクリーンを眺めている派なのですが、
時々エンドロールが終わった後にも続きのある映画があります。
まさにそれと同じことで、私たちが想像している、
浸透している終着点には、まだ続きがあるのかもしれないと思ったのです。
そう考えると、辛い日々と名付けてしまったフィルムにも
何か裏切りがあるのではないかと、ちょっとしたワクワクが生まれる気がします。
2 人生は映画のよう
「あなたの人生の名シーンは、いつですか?」
そんなこと考えたことも、思いついたこともありませんでした。
なぜなら、映画の様に、人様にワクワクや緊張感を届けられるような、
そんな刺激的な日々を過ごしていないからです。
この作品を読み進める中で、全くとして関係はないのですが、
思いつきで絵日記を始めました。
日記とは違い、毎日絵を添えないといけないので考えるわけです。
『今日の、一番のシーンはなんだったかな?』
そう。無意識に名シーンを毎日記録していました。
その絵達を見返すと、本当に些細な幸せな瞬間や悩んでいる様子、
ひたすら考え事をしている様子など、様々な場面が記録されていたのです。
日々の名シーンは、楽しいことだけではなかったですが、人生色々だなと思います。
その日記は紛れもない名シーンだけを切り取った、
特別ダイジェストとでもいうべきでしょうか?
それが全て詰まったものが映画で、そして人生なのだとこの作品に気づかされました。
3 終わって初めて、分かること
まだ、続きを歩いている私たちですから、
この人生が良かったものなのか、 そうでないものなのかは分かりませんが、
途中経過にダメ出ししたくなることはあります。誰だってそうです。
特にうまく行っていない時なんかは、 とても悲観的になってしまいます。
自分の人生丸ごと、バツをつけてしまうのです。
『終わってみて、分かること』
全てが終了した時に、私たちは自分の人生を振り返って
バツだけではなかったなと思える日が来るだろうと思います。
今はまだ分からなくても、この本が作品を通してきっと教えてくれるはずです。
まとめ
死後のことを、現世の記憶をなくし苦しい思いをするのだと決めつけていた、
あの頃の自分に伝えてあげたいです。
終わりを決めてはいけない。まだ先は明るいままかもしれない。
現世が暗かったのなら、やっと光を手に入れられるかもしれない。
ちょっとしたワクワクを抱きつつ、今に向き合っていこうと思うのです。
そして自分の映画が完成した時、忘れたくない名シーンを抱きしめて眠りにつこうと思いました。
あなたももし、辛い日々や思い悩む日々を過ごしているのなら、
この本とともに、人生という名の映画の旅に出かけてみませんか?
もしかすると、苦しみを知る人だけが、この作品の本当の温かさに気付けるのかもしれません。